こんにちは。アラトラです。
今回は「ドラゴンヘッド」をご紹介します。
はじめに
あなたは「最後の最後まで救いのない漫画」を読んだことはありますか?
このドラゴンヘッドという物語は、ある事故・災害に見舞われた男子中学生の話です。
この物語の主人公青木テルは避難していく過程で、さまざまなトラブルを経験し、さまざまなタイプの人間に出会います。
テルはその度に葛藤し、自問し、自分にとっての「光」を探し求めて進み続けます。
テルを通して、みなさんが恐怖を感じること、生きていくこと、大切にしたいことを考え直すきっかけになればと思います。
こんな方におすすめ
・謎の多い物語が好き
・世紀末感やどんどんと追い詰められるような物語が好き
・10巻程度で読める漫画を探している
・災害対策について考えてみたい
- この漫画には多くの暴力的な表現・描写が含まれます。
- この漫画には災害(地震、津波、竜巻、噴火など)に関する描写が含まれます。
- 上記のような描写が苦手な方は閲覧の際、ご注意ください。
作品情報
作者 | 望月峯太郎 |
出版社 | 講談社 |
連載された媒体 | 週刊ヤングマガジン |
単行本数 | 10巻(完結) |
累計発行部数 | 650万部 |
受賞歴 | 1997年 第21回講談社漫画賞一般部門 |
映画化の有無 | 2003年映画化 |
作者の望月峯太郎さんについては、以下のwiki情報をご参照ください。
1985年に『週刊ヤングマガジン』で、望月峯太郎としてデビュー。同年、『バタアシ金魚』を連載。
この時期はニューウェーブ作家として注目される。その作風は後の漫画家にも大きな影響を与えた。『バタアシ金魚』、『ドラゴンヘッド』、『鮫肌男と桃尻女』は映画化され、「お茶の間」はテレビドラマ化されている。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ドラゴンヘッドのあらすじ
修学旅行帰りの新幹線。
いつもと同じ友達、感じの悪い教師、何気ない会話。
そんな何気ない日常、いつも通りの平和な世界。
新幹線がトンネルに入った時、ドーンという大きな音と揺れと共に全ては一変する。
さっきまで会話していた友人も、小言を言ってきた教師も、全てを失う。
周囲はクラスメイトの死体で血だらけ。
明かりはなく、音もない、深い闇に包まれた世界にただ一人取り残されてしまう。
足掻き、苦しみ、心と体に数えきれないほどの傷を負いながら這い出たトンネルの先で、テルが見たものは…。
ドラゴンヘッドの魅力
擬似的な極限状態体験
この物語のような極限状態とは、いつでも体験できるものではありません。
体験できるとしても、できれば体験したくはないと考える方の方が多いでしょう。
でも万が一、自然災害に遭遇してしまったら?
そんな中で漫画を通して擬似的に極限状態を経験することができるのは、このドラゴンヘッドではないでしょうか。
恐怖とは何か?を考える
作中には「恐怖」「生きる」「闇」といった言葉が数多く使われます。
恐怖については、孤独であったり、自分がこの先どうなるのか、いつ死んでしまうのかも分からない状況は、ただ読んでいるだけなのにヒシヒシと感じられるものがありました。
特に「生きること」「生き続けること」の意味を考えるきっかけであったり、「恐怖とは何か」「恐怖を感じるとはどういうことなのか」を考えるにはもってこいだと思います。
結局一番怖いのは「追い詰められた人間」
「世界中の生き物で、一番人間を殺している物は何か?」
この問いの答えは「人間」なのだそうです。
おそらく戦争などが大きく関係していると思いますが、そう言った状況はどれもどちらが生き残れるかも分からない、生き残ったとしてもまた次の命の選択が迫ってくるような、「極限状態」であったのではないかと思います。
極限状態で人間はどうなるのか?
人間は追い詰められるとどうなるのか?
倫理的に体験することができないことを擬似的に経験できるかも知れません。
絶望フラグをしっかりと絶望のまま回収する
テルは作中で幾度となく絶望を経験します。
普通の物語であれば、どこかでハッピーエンドや「よかった」と胸を撫で下ろすシーンが入っていますが、ドラゴンヘッドはそこまで甘くありません。
(人によっては胸糞悪いと思われる方もいるかも知れません)
読みやすい巻数の短さ
10巻という短い巻数で、集中して読み切るにはちょうど良い長さであることもおすすめしたい理由の一つです。
評判
アマゾン:4.0/5.0
めちゃコミック:3.7/5.0
BookLive:4.2/5.0
最後に「何だこの終わり方は?」と思う人も多いようですし、実際口コミを見ていただくと結構賛否は分かれています。
確かに私も最初に読んだ時は「はっきりしないなぁ」と少しモヤっとした記憶があります。
しかし最初に読んでから20年ほど経過した今読むと、全くそうは思いませんでした。
口コミを見てみても、高評価をしている方の中には熟練漫画読者の方が多いように思います。
感想とまとめ
この漫画は1994〜1999年の間に連載された作品です。
その時期までの日本国内の大きな地震といえば阪神淡路大震災ではないでしょうか。
幼かった私はテレビでこの災害の惨状を見て、「なぜこんなことが起こるのだろう」と恐怖していたことを今でも覚えています。
この漫画が出版されてからこれまでの間に、大きな地震が多くありました。
特に2012年3月11日の東日本大震災は記憶に新しく、深く心を痛めた災害の一つでした。
この震災の後、一時私は暗くして眠ることができなくなりました。
暗闇が怖かったのです。
暗い場所には何かがいるような、誰かがいるような、そんな気がして家中の電気をつけていました。
今もなお、この災害に心や体を痛められている方が多くいらっしゃると思います。
自分たちが享受している平和がいかに大切なものか、いかにありがたいものなのか…。
この漫画が考え直すきっかけになるのではないかと思うのです。
特に自然災害の多い昨今、ニュースだけで見る災害情報は以前のような他人事とは思えない環境だと思います。
漫画で何かが変わるかなんて分かりません。
でも、漫画や書籍だから伝えられることも多くあると思います。
「ドラゴンヘッド」
今だからこそ読んでほしい漫画のひとつです。
それでは。
こちらもおすすめ
実はこのドラゴンヘッド、映画版も出ているのです。
キャストは妻夫木聡さん(青木テル)、SAYAKAさん(瀬戸アコ)、山田孝之さん(高橋ノブオ)と豪華です。
何より驚いたのが、ノブオをあの山田孝之さんが演じていることでした(笑)
もし興味のある方は映画も観てみてはいかがでしょうか。